車で2時間程行くと、山の中に木造で風格有る温泉宿が見えてきた。


「龍一さん、見えてきたよぉ。」


「スゲェでかいな。」


車を降りると、ひんやりとした空気が私を包む。


「行くか。」


そう言って左手を差し出す。


「うん。」


その手を少し慣れた感じに繋ぐ。


「いらっしゃいませ。」


着物を着た女将さんが私達を出迎えてくれた。