あぁ、ダメだ。

やっぱり私はこの人が好きだ。





「しゅーちゃ……。」






声を聞くだけで泣けてくるなんて。

ホントに私は重症だと思う。



“伊織”って心配そうに呼ぶ彼の声だけで全てを許してしまいそうになる。






しゅーちゃんが愛しい。

しゅーちゃんが恋しい。






それだけ。

私の気持ちはいつもそれだけなのにどうしていつもこの人が手に入らないんだろう。







苦しい。

しゅーちゃんのコトが好きだから苦しい。







そんな胸の痛みにぐっと耐えていると



「伊織…、ずっと黙ってて…ごめん。」



しゅーちゃんは申し訳なさそうにそう呟いた。








「俺…桐谷部長が言ってた通り…婚約者がいるんだ…。」


「…うん。」


「それに…。
彼女のお腹には…俺の子どもがいるんだ。」









キツイ。







桐谷慎から聞いた時もツラかった。

だけど…
しゅーちゃんの口から聞かされると、胸の奥がグッと締め付けられてるみたいで…苦しい。







「…うん。聞いた…。」







必死の思いで。

絞り出すような声でそう告げると





「…そっか……。」








しゅーちゃんも力なく呟いた。