「…えっ…??」




理央の思わぬ反撃に思わず固まる私。






「婚約者がいる。
お腹に赤ちゃんがいる。
それがどーしたの??」










どうしたの…って…。

それが全ての理由じゃない。

そんなドロドロな恋愛…私にはできないよ。

人を傷つけてまで自分が幸せになろうとは思えない。









何も言えずに黙っていると。








「あたしなら諦めないわ。」









と、理央は強い目で言い切った。






タバコの煙をくゆらせながらマンガの山から携帯を取り出して誰かに電話をかけながら、理央はきっぱりこう言った。








「彼女がいようが、奥さんがいようが、カンケーない。
欲しけりゃ親だろうが兄弟だろうが寝るわよ。

イイコな伊織と違ってね。」




そう言うと。

理央は電話を持ってリビングを出ていった。








廊下から理央が電話で誰かと話している声が聞こえる。








理央……。









欲しいものは欲しい。








そう言える理央が羨ましい。

私もそう言えたらどんなに楽かわかんない。







だけど…

もう傷つきたくないの。

傷つけたくないの。





しゅーちゃんのセカンドガールを続けても幸せになんてなれないってわかってるなら…サヨナラしたほうが楽じゃない。







私は…

穏やかな恋がしたいだけ。




お互いを見つめる暖かな目が欲しいだけ。








なのに…

どうしていつもこうなんだろう。






大事なものはいつだって自分の手からすりぬける。