「む、無理だから!!」


苦しさをこらえて涙目になりながら答えると



「ばかっ!!!!今度諦めたらアンタ二度と恋愛できないわよ!?
婚約者が何よ!!
好きなら奪えばいいじゃない!!!!」




理央は私の脳天を思いっきりパーで叩いた。







「アンタはいつもそう!!
正論を振りかざして醜い感情からいつも逃げ出す!!」


「……。」


「藤堂先輩のコトが好きならとことんまでいけばいいじゃない。
彼女がいようと婚約者がいようと関係ない。
好きならしょうがないじゃない!!!!」



理央の言うことはもっともだ。
もっとも過ぎて…耳がいたい。








だけど…

私たちに未来なんてないじゃない。









「ムリ。
ごめん…、もうしゅーちゃんのコトには触れないで。」








理央から顔を背けて。

必死に涙をこらえながら訴えると。





理央はカーッと顔を真っ赤にして本気で怒った。






「アンタね!!いつまでもきれいな水の中だけで生きていけると思ったら大間違いよ!!!!!!!」





と、グイッと腕を引っ張る。







「恋愛ってそんなキレイな気持ちだけでできるワケじゃないの。
人間の一番キレーな気持ちと一番どろどろした感情がうごめいてんのよ?」


「…わかってる…よ。」



「わかってないわよ!!
わかってんならキレイな水の中から抜け出して泥水かぶってみなさいよ!!!!!!」