1992年は
やっとポケベルが大人たちに普及した頃だ。

もっぱらルカとの連絡は、親の目を盗んでの
家での電話だった。
「優希ー電話だよールカちゃんから」
母の間延びした声が響く
「はーい」
わざと面倒くさそうに返事をする

理由は明らかだ。

「もう、こんな時間に…」

受話器を渡される度に
毎度聞かされる母の小言…。
(うざってーな…)
心の中で呟く

(ヨシ!)
と気持ちを切り替えて

明るい表情まで作って
電話に出た

「モシモシ♪」