「俺が高校生の時、西本の兄と同級生でよくあいつらの家に遊びに行ってたんだ。西本はまだ小さかった。西本の兄はその小さい弟にさえも容赦なく殴って、怪我をさせたんだよ。西本の左耳が悪いのはその時のせいだ。俺は止めるわけでもなく、ただそれを見ていたんだ」
安藤の眼が見開かれた。
次の瞬間勢いよく立ち上がり、俺を殴った。
頬に激痛が走る。この程度じゃない。西本は何年もの間これ以上の苦痛に耐えてきた。
安藤が憎いとは思わない。当然だ。
「最低だ!」
怒りに震えた声で怒鳴り、安藤は出ていった。