店を出た綾子は酔っ払いを無理矢理タクシーに乗せていた



「美亜、住所は?」


「要ちゃんちぃ〜」



新しい住所を覚えていないのだろう


瞬時に判断した綾子は美亜から携帯を借り電話をかけた




「お疲れ様です。経理課の宮部です。今、美亜と一緒に居るんですが…」



勿論、相手は要だ



「…はい、20分程で到着すると思いますので…失礼します」



綾子は電話で聞いた住所を運転手さんに告げた




隣では陽気な美亜が呪文を唱え始めていた


多分、何かの言葉なのだろうが本人以外には謎の言葉に聞こえる


構うのに疲れた綾子は美亜に絡むのを止めた