少しアルコールも入り、空腹感が満たされた2人は、綾子お勧めの店に場所を移した


綾子が連れて来た店は、普段行くような居酒屋やカフェと違っていた



「ここのカクテルが美味しいって評判なのよ」



なんとも綾子らしい選択だった


店内は照明が薄暗く、ブラックライトの光が見事に調和されている


普段聴かないような洋楽がBGMとして流れていた



おおうっ!なんともアダルティな



美亜には物珍しい場所だった






30代後半くらいだろうか、マスターらしき人がカウンターの中から出迎えてくれた


そのまま促され、カウンターの椅子に座った



「いらっしゃいませ」



美亜はマスターからおしぼりを受け取り



「本日は2度目でらっしゃいますよね」



今度は綾子におしぼりを渡した



「あら、覚えていて下さったんですか」



「嬉しいです」と暗くて表情は分かりにくいが、俯き加減で答えた


美亜は綾子の目線を合わせ



「も、もしかして?!」



『イケメンマスターに惚れた?』



テレパシーを送った



「うふふ、教えなーい」



乙女笑顔を浮かべた



「いーじゃん、教えてくれたって、ケチ」


「美亜が恋したらね」



意地悪い笑みをした