「今日は如何されましたか、常務?こちらからお伺い致しましたが」
要の一言で思い出したかのように内ポケットに手を入れ
「ああ、そうだ」
美亜の席の隣に座った
手に握られて現れたのは2枚の映画のチケットだった
映画は魔法使いの少女が旅をするシリーズ物の最新作だった
それを見てギョッ!っとしたのは要だけではなかった
わざわざ自ら足を運んで片付けなきゃならない用事がこれなのか
「試写会のチケットなんだが、来週の木曜でさ。その日は生憎都合が付かなくてね」
全く気にする事なくヒラヒラとチケットを見せびらかしせた
誰に?!そりゃー勿論………
一の手の中で、ヒラヒラ揺れているチケットを早業で掴んだのは美亜だった
「フッフッフッ、お任せ下さい」
声を発した時には、左手の人差し指と中指の間にチケットが挟まれていた
忍者かっっっ!!