私は静かに手を合わせると、同じく静かに彼に訊く
『そっちの世界はずいぶん楽そうじゃあないか』
返事はない。ただ墓石は無念というか、なんだかたくさんのものを抱えているように私には見えた。
重いバッグを墓石にかけられて、それこそ無念だろう。
そうだ、もし私が死んだら、ここに埋めてもらおう。彼と同じ墓に入り、死後の世界の感想を聞く。
答えはどうあってもいい。絶望が待っていようが、希望が待っていようが、新しい世界には変わりはない。
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