「いいですか、よく聞きなさい。
あなたたちはこれからたくさん勉強して、世界を理解しなさい。
何も解らなくても、自分の意見を持ちなさい。
誰かに合わせるのではありません。
自分の世界は自分で変えてみせるのです。
あなたたちの言葉が現実を変えるのです。」
ひとしきり、言うと、私は何かあついものが心にこみ上げてきた。
―――この子たちは信じている
私が聖職者だと。生きているモノを全て教えてくれる人だと。
そして、大きくなったらきっと気付く。
事を教えてくれた聖職者は、いないのだ、と。
同じような歴史が、永遠と繰り返される。
これ以上この子たちと目を合わせていると、まずいことになりそうなので、私は振り返り、速度を落としながらやってきた電車へと足を向けた。