彼のにやついた表情が微かに浮かぶ。
決して鮮明にはならない。砂埃が彼の顔を隠して離れない。


彼はいま、何を感じ、何を考えているだろう。
どんな丁寧で研ぎ澄まされた言葉よりも、ストレートな感情が気になった。


練り込まれた一言よりも、率直な、突発的な言葉を聞きたい。



『・・・・・・本当は生きたいのかもしれない』

確かにそう言った気がした。

彼がどれだけその言葉を生み出すために心の内を貪ったとしても、私は彼の存在に身震いを覚えた。

人間味という部分が酷く際立って、時に気怠く活きている。