≪だいせんそう≫の怖さなど忘れたというのが本音なのかもしれない。
びちゃびちゃだった、あまりにも吸い込みすぎた感情は、雑に干されて死んでいく。無くなったというよりも、死んだという表現のほうが格段に正しい。
結果、気怠さだけが残った。何でわざわざ争うんだろうという、無気力な意志。
意志と言えるだけまだマシなのかもしれない。
私が墓石に触れてみると、彼が何か言った気がした。あまりよく聞こえない。
彼が、加減して言っているような気がする。
まるで陰口を言っているかのような汚れた囁き。耳を貸してみても、彼はもったいぶっているよう。