「まぁ、追試って言っても、夏休みに学校に来て補習を受ければいいだけだから」


そぅ言って、尾白先生は目を細めて笑った


「あの…先生、夏休みの間って、いつからいつまでですか?」


「いつからって、夏休みの間、土日とお盆休み以外はほぼ毎日だなー
あとは、俺の都合しだいだ」


ほぼ毎日!?それじゃ、夏休みほとんど潰れるじゃん!!


「…じゃあ先生、私以外に補習受ける人って誰がいますか?」




「7月の間はお前以外に10人くらいはいるけど、8月からはお前1人」


「え゛…何で8月から私
1人なんですか?」


「お前がテストで一番点数悪かったから」


先生はそんなことを涼しい顔をしてサラッと言う


「そ、そんな―…」


それに対して、私の顔はどんどん青ざめていった




「そぅいう事だから、まぁがんばれよ。
あと、もぅすぐ授業始まるぞ。
遅れるなよ。」


そぅ言って、先生は職員室に入って行った。






「補習…

サボっていいですか?」


「いやいや、サボっちゃだめでしょ…」

今は昼休みで、教室の窓際で親友の中田優(ナカタ ユウ)と机をくっ付けて、お弁当を食べながら、補習のことを話していた。

「だってさぁ、夏休みほとんど潰れるんだよ?
優とも全然遊べないんだよ?」

そんなの嫌だよ―…。


「だけど、補習って午前中だけじゃないの?」


「うん、たぶんそぅだと思うけど…」


「なら、午後からとか、土日とかにたくさん遊ぼうよ!」


「うぅ~優ぅ~ありがと~」


私は涙目になりながら、優に抱きついた





「よしよし」

優は笑いながら、私の頭を撫でてくれた。

優は小学校のときから、ずっと一緒にいる、私の大切な親友。
身長は155㎝くらいで私は152㎝だから、私よりちょっと背が高いけど、周りから見たら、私たちは結構小さいと思う。

優は、二重大きな瞳で、色白で、綺麗なストレートの黒髪で、それに、勉強も出来るから、超モテる。


それに比べて私は…


いちよう二重で色白な方だとは思うけど…


優みたいに可愛くないし、勉強も出来ないし(数学だけ)、それに一番イヤなのが―…





腰まで伸びたこの茶髪…

「髪…
黒く染めようかな…」

「も~また言ってるし…
私は瑞希の髪の色、好きだよ」

「えー!私は優の髪の色の方がいい~」


「瑞希ってさ、本当にその髪の色キライだよね~、綺麗なのに、そににスゴイさらさらじゃん!」


「だってさぁ、中学でも高校でも、この髪のせいで何回生活指導の先生に注意されたか分かるでしょ?

親に電話までしてさ…

まぁ、そのおかげで、先生達の誤解もやっと解けたんだけどね…」





そんなことを優と話していると、


「瑞希ー!」


誰かに呼ばれて、声がした方を向くと、教室のドアの近くで、幼なじみの鈴木 智也(スズキ トモヤ) がこっちに手を振っていた。

「あっ、智也!どぅしたの?」

「智也くん一緒にお弁当食べる?」


「おぉ~食べる食べる~♪
てか、もともとそのつもり」

そぅ言って、持って来たお弁当を見せながら、教室に入って来て、私たちの近くにある机をくっつけて、お弁当を食べ始めた。




智也がお弁当を食べ始めたから、私と優も残りのお弁当を食べた。


そして、私と優がお弁当を食べ終わって、お弁当箱を片付けていると…


「あっ…そうだ!!聞いてくれよ、瑞希ぃ~優ぅ~」


智也がまだお弁当が残ってるのに、食べるのを止めたと思ったら、急に泣きそうな顔になって話し出した。




「はいはい、なんですか?」


「俺、夏休み補習なっちまったよ~」


へー………



って、マジでー!?

「智也、それマジ?」


「うん、マジ…」


………


「…やったーー!」


「は?」


「瑞希よかったね~!智也も一緒だって」


「うん、よかった~」


補習受ける人達の中に仲の良い友達がいなかったらどぅしよ…
って、内心不安だった私は、智也も補習を受ける事が分かって、かなり喜んでいます!






「何だよ、お前ら…
俺が補習受けるのがそんなに嬉しいのかよ…」


「うん、嬉しいよ!」


「何でだよ~」


「何故なら…

私も補習受けるからです!」


「………」


…あれ?

反応がない…


「と、智也~?
だいじょ…「よっしゃ~!!」


…へ?


私が『大丈夫?』って声かけようとしてたら、智也が急に叫んだ。


「そっかぁ、瑞希も補習受けるのか~」


なんて独り言言いながらニヤニヤしてるよ…

「「智也(君)、キモイよ…」」


「はっ!
ごめん、嬉しすぎてつい…」