「咲はあれで、風邪でも引いたらどうする」
「まぁ、馬鹿は風邪引かないって言いますしね」
とかなんとか言いながら、斎藤先輩と小橋先輩も傘をさして帰ってしまった。
零会長の姿は…何故か見当たらない。
1番に帰ったのかな。
「……あ」
そこで私は、傘を教室に忘れてきたことに気付く。
傘なしで帰れる程度の雨でもないし。
面倒ではあるけれど、私は教室に取りに行くことにした。
やっぱり、咲先輩みたいに濡れて帰るのも、風邪引いちゃいそうだし。
――――“ガラッ”
誰もいない静かな教室。
天気が悪いせいで、薄暗いし不気味だった。