それは、俺が春樹と本屋へと足を運んだ時だった。
俺は毎月買っているメンズ雑誌を買うつもりだった。
「龍斗~!あったよ~。!」
「じゃあ買って帰るぞ。」
そこには手を繋いでいる1組のカップル。
「おいまてっ!これ違うから!つづりちゃんと見ろ!」
「あ、本当だ!Sが見えたからこれだと思った。」
「たっく…こっちだよ。美姫、帰るぞ。」
明らかに幸せ満開だ。
美男美女のお似合いなカップル。
お互い楽しそうで羨ましい。
「あ、そっか。」
彼女を作れば何か変わるかも。暇潰しには丁度いいか。
そんな、なんとも単純な理由。
でもこれが……俺の嘘の始まりだった。
一方、エロ本を立ち読みしてニヤニヤ笑ってる春樹。
本当は話したくないが、仕方がない。こういう類いの話は春樹が一番適してるだろう。
「あ、どうした??」
エロ本を手にしたまま、春樹の方が先に気づき話しかけてきた。
「とりあえず、その本を置け。俺は人前で堂々と、そんな本を読んでるやつとは話したくない。」