そんなとき、角でアクビをした宏樹が私に気づいた。
そうすると、逆送してこっちに歩いてくる。
私はどうしたらいいのかわかんなくて、あたふたしていた。

私の前で止まった宏樹は一言、「おはよ、真菜。」と私に挨拶をしてくれた。

私もおはよ!とすかさず返す。

宏樹が女子といるところなんて見たこともない。
それは誰もが同じで、2人でいることに直ぐに周りは反応した。

私たちはお互いの自己紹介みたいな会話ばかりしている。


「へぇ。猫好きなんだ。」


「うん。犬も好きだけど…やっぱり猫が好き。宏樹は??」


「俺も猫派。犬も嫌いじゃないけど、のんびりしてる猫のが俺には合ってる。」


「犬も犬で可愛いけどね。猫の可愛さには敵わないよ。」


「同感。」


意外な共通点。でもこんな他愛もない話が楽しい。嬉しい。

だって…あの王子様の宏樹と一対一で会話できるんだよ??
これって、奇跡に近いよ!