「由里香先輩、ついてます。」
そう言って、綾人に口のまわりにちょこっとついたソフトクリームを指で取られた時にはドキッとした。
うん、綾人も男の子だね。
純情な後輩ってイメージの綾人を初めて男の子って身体が思った。
夏休みマジック?
──―─…‥
しばらく歩き回って、さすがに疲れてきた頃に綾人は言った。
「そろそろ帰りませんか?」
私も巧も足が限界になっていたこともあり、その日は最後にキリンを見て帰路についた。
もう夕方だというのに、ジメっとした空気が肌にまとわりつく。
乗り込んだ電車は申し分ないほど涼しかった。