希一はまた驚いた顔をして何か考えだした。 …忙しい奴。 「……どうして?」 先輩しつこいな。めんど。 「もう陸上はいいや、って感じなんで。」 「…もったいないよ。」 「せっかくなんですが、すいません。」 「…ううん。急にごめん。 お友達のほうも、長く待たせてごめんね。」 「いや、俺は別に…。」 陸上部の先輩は、最後に“気が変わったらいつでも来てね。”と言って去っていった。