「ねぇ、君…。」 俺は“ヤバい”と思った。 きっと、この人は俺のことを知っているんだろう。 だって、この女(どう見ても先輩)、オリエンテーションで見た陸上部のジャージ着てる。 「君、田中綾人くんだよね?」 …やっぱりだった。 こうなると振り切るのが面倒になりそうだ、と心の中でため息をもらした。