「はい。
…田中が俺をライバルとしていることは知っています。それは選手として嬉しいし、それが嫌だってわけでもない。
でも、あいつの場合、そのせいで自分のジャンプのスタイルが確立されてないんです。」
佐々木くんは、ハァ…、とため息をついてまた話し始めた。
私はただ、黙って聞いた。
「あいつのジャンプは俺の模倣なんです。それじゃ、せっかくの素質が台無しだ。
あいつにはハイジャンの素質が俺よりずっとある。だから、俺の模倣やっててもそれなりに結果出すんです。
だから、余計もったいない。
あいつにはあいつの、自分なりのジャンプを見つけてほしい。それで勝負したい。」