前へ進みたいと、立ち止まりたくないと。
うそぶいて欺いて
こころが悲鳴を上げる。
本当は時の流れに抗ってわたしをここに縛り付けてしまいたい
動けなくなる
それでいい。
ずっとふたりきりで、冬李と、ずっと。



この冬が終われば、別れが訪れる
一度別れてしまえば
もう二度と会えないことは分かっていた

この大きな古い家と一緒に、長い時間ここに居た冬李は
いつもひとりの、わたしの側に居てくれた。

さらさらの黒い髪が風に靡くととても綺麗で、白い肌は光に消えてしまいそう。それは昔からずっと変わらない。
そしてこれからも、変わることはない。






もう、いきてはいないひと。