それから間もなくして、3年生は卒業式までの一足早い春休みに入った。


 普段、極たまにしか姿を見掛けられないとは云え、この校舎に先輩がいないと思うと、それだけで学校生活が途端に色褪せる。

 つまらない日常。

 先輩を知る前には味わったこともない、この虚無感。


 ―――私、先輩が卒業してもちゃんと生きていけるのかな。


 姫乃自身でさえ、ヤバイと感じる程、何をするにも覇気のない日々を送っていた。