「…かっ 上領、先輩…っ」
搾るようにしてやっとのことで出した声は、上擦ったか細いものだった。
それでも、有の耳には何とか届き、彼は足を止めて振り返る。
「…なに?」
有は朝陽にやや目を細めつつ、姫乃をじっと見詰める。
その余りの恰好良さに、姫乃は軽い立ちくらみをおぼえた。
「…どうしたの?」
呼び止めておきながら何も喋らない姫乃を、訝しがりつつ有が問う。
それにはっとして、姫乃は意を決して言葉を紡いだ。
「―…あのっ、これ。どうか貰ってください…っ」
渡せなかった誕生日プレゼントと、作り直したザッハトルテ。それらの包みを入れた紙袋を有に差し出した。
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搾るようにしてやっとのことで出した声は、上擦ったか細いものだった。
それでも、有の耳には何とか届き、彼は足を止めて振り返る。
「…なに?」
有は朝陽にやや目を細めつつ、姫乃をじっと見詰める。
その余りの恰好良さに、姫乃は軽い立ちくらみをおぼえた。
「…どうしたの?」
呼び止めておきながら何も喋らない姫乃を、訝しがりつつ有が問う。
それにはっとして、姫乃は意を決して言葉を紡いだ。
「―…あのっ、これ。どうか貰ってください…っ」
渡せなかった誕生日プレゼントと、作り直したザッハトルテ。それらの包みを入れた紙袋を有に差し出した。
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