どきどきしながら、4階への階段を上がる。

 冬の日曜日の朝の校舎は、しんと静まりかえっていて、尚更心臓が煩く響く。

 早鐘を打つ自分の心臓と、響く靴の音にまたどきどきする。

 途中、何度も足を止めて深呼吸をして勇気を振り絞っていた姫乃だったが、いよいよ4階に辿り着いた。

 先輩の教室はこの階のいちばん奥にある。


 2、3歩 踏み出した、その時だった。


 いちばん奥の教室から、大きなバッグを肩に掛けた背の高い人影がすっと現れた。




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