帰り支度をしていると、教室の戸口から私を呼ぶクラスメイトの声がした。


「ひめの…お客さんなんだけど」

「は〜い、今行きますっ」

 わっ、もう先輩が来ちゃった!

 今日に限ってなんだかお迎えがいつもより早い。

 また心の準備が出来てないのにぃ…! どーしよう。


 それでも、いつまでも先輩を戸口で突っ立たせるのも心苦しい。

 私は覚悟を決めて、えいやっと顔を上げた。


「すみませんっ、いま…」

 戸口から私を見据えて立っていたのは上領先輩ではなかった。


 そこで腕を組み、私を待ち構えて佇んでいたのは。


 緋色の髪の、燃えるような目をした松本さんだった。




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