恋って贅沢だ。


 最初は遠くから姿を見つめられるだけでも嬉しかったのに、今ではどう?


 先輩の近くに居られるようになってからはどんどん贅沢に、欲張りになって、彼の過去にさえ嫉妬してしまう醜い自分がいる。


 ほんとうに付き合ってる訳でもないのに。

 知らず知らずのうちに、私はカノジョ面しているのかな?

 …なんか、あつかましくて嫌だな。


 醜い自分もイヤ。


 こんなに元カノが気になるのは、私が中途半端な立場だから?


 …先輩に好かれている自信がないから?



 瑠璃の云う通り、あの上領先輩が私との関係を続けてくれているからには、少なくとも嫌われてはいないとは思うの。





 優しく私に触れる彼の指や口唇は、とろけるように甘くて、私に愛を錯覚させる。


 でも、それに溺れるには未だ早いと、私のなかの臆病なわたしが囁く。




 彼は、私への罪悪感で傍にいてくれているんじゃないかという疑念が、未だに胸のなかでくすぶっているから…。



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