「お待たせしました!」


 先輩はゆっくりと顔を上げて、切れ長の眼で私を見る。

 ああ…恰好いいなぁ。

 こんな素敵な人を独占していたんだ。罪よね。


 先輩はぱたんと問題集を閉じて立ち上がる。


「帰るか」

「待ってください…先輩、今日お時間あります?」

「…ああ。なに?」

「お話があるんです」



 どくん。


 がんばれ、ひめの。


 震える両手を握り締めた


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