「うちと会澤組なら、おまえは
 必ず会澤組を選ぶ
 そして、俺達を潰しにかかる
 俺がおまえなら、そうする
 
 だから今、ここで
 おまえを殺す」

真剣な瞳で透馬は庵を見つめる 

「選ばないさ・・・」

初馬は、張り詰めた空気の中
話し出す。

「三代目は、会澤組とは
 手は結ばない
 分かる奴には分かる
 会澤組組長は、下衆な男だ
 仲間でも、平気で裏切る
 奴は、そういう男だ
 イチヤの兄貴は、心底
 奴を嫌っていた」

初馬は、透馬の庵に向ける銃口
を押さえ力ずくで下ろさせた。

「返事をお待ちしています
 復縁を選んで頂けるの
 でしたら、会澤組との抗争の
 際には、全勢力をかけて
 必ず、組の力になります」  

料亭を出る時には、既に
庵の心は決まっていた。