庵は、煩わしい拍手の音
に気が散る。

大切な仲間の死。

今にも引き金を引く

・・・ギリギリの精神状態。

初馬の登場にも、顔色一つ
変えずに銃口を透馬に向けた
ままで、その場に立つ庵。

「何と、あっぱれな・・・
 さすがは、イチヤの兄貴の血
 を受け継ぐだけの事はある
 
 トウマ、分かっただろう?
 おまえと彼とでは、雲泥の差
 度胸が違うんだ
 もう、この辺で抗争は
 止めるんだな
 おまえの叶う相手じゃない」
  
父親の言葉に動く透馬に、強く
銃口を押し当てる庵。
 
彼は、動けない。
 
「親父、それは無理な話
 今、ここで手打ちにするわけ
 には行きません
 
 高月組と会澤組が手を結べば
 必ず、伊納組は潰される
 今のうちに・・・」

「三代目、すまないがその頭上
 に当てた銃を、そろそろ
 下ろしてやってはもらえない
 か・・・」