「奈緒ちゃんも着物着てくればよかったとに~。」


そう言った詩織ちゃんは、桃色の着物がとってもよく似合っていた。



「あたしは着物なんてガラじゃないって。それにしても人多かね~…」


神社は初詣客でごったがえしていた。


周りを見渡すと、同じ学校の子達もちらほら見えた。


みんな考える事は一緒か…(笑)



「…あ…。」


詩織ちゃんが声をあげた。


「楓ちゃん達…」


詩織ちゃんが指さした方を見ると、楓や綾達がいた。


着物姿でなんかはしゃいでいた。


ふと、楓と目が合った。楓はすぐに目をそらすと、なんか綾達にひそひそ話をして、そのまま人ゴミの中に紛れて行ってしまった。





…何だったんだ??…


…ま、いっか。



「行こ。詩織ちゃん!」


あたし達は初詣客の列に並んだ。