「………待って下さい」


片桐くんの言葉を遮って、鈴のような声が聞こえてきた。


「約束、お忘れですか二人とも?」

「高遠…くん」

「僕は片桐先輩に試合で勝ちました。もし僕が勝った時は、片桐先輩のことを忘れると…そういう約束でしたよね?」


ニコリと笑って、高遠くんは私と片桐くんに向かって言う。

忘れてたわけじゃない。でも…


「忘れるなんて…そんな」

「約束は約束ですよ」


冷たい瞳で、私に言う。


「おい高遠!そんな理不尽な約束があってたまるか!!」

「な、南条先輩っ!?」


南条先輩がいきなり割り込んできて、高遠くんの胸ぐらを掴む。