「片桐くんっ!!」

「橘……」


片桐くんは汗を拭いもせず、私にその顔を向ける。

私はそんな片桐くんの目の前に立ち止まって、ジッと片桐くんの顔を見た。


「何で…何で来たの片桐くん?近隣の学校との交流試合があったんでしょ??」

「………」


片桐くんは黙ったまま、顔をフイッとそむけた。

片桐くん…。


「私のため…?」

「………別に」

「じゃあ…何で来るのよ!!」


シーンと静まり返る剣道場の中、私の声だけが響き渡る。