「あ―――…」


何も考えられなくなって、視界がだんだん霞んでいく。

高遠くんの…勝ち?


「………ふぅ」


高遠くんは頭の防具を脱いで、額に滲んだ汗を拭く。

そして片桐くんも、同じように防具を脱いだ。


「なかなか良い試合でしたよ。片桐先輩」

「ああ、俺も良い試合だったと思う」


片桐くんはそう言って、頭を下げて礼をした。

片桐くん…っ


「―――っ…」


私はたまらなくなって、片桐くんと高遠くんがいる所まで走っていった。