スパーン!という、何とも清々しい音が場内に鳴り響く。 昔、聞いたことがある。 私が最初に片桐くんと会ったときも、片桐くんは試合をしてて…… 「………あ…っ」 審判役の学生が、バッと右手を勢い良く上げた。 右…手…? 「………うそ…っ」 「マジ…で?」 私は目を見開き、両手を口にあてる。 南条先輩は南条先輩で、凄く驚いた表情をしている。 右手が挙がった。 「………高遠くん…」 右側は高遠くん。 高遠くんの…勝ちだ。