「……でも、私は」
「大丈夫だよ。もう吹っ切れてるから。だからこそ…」
「美羽ちゃんを応援してるんだよ?」と言って、私にニコリと優しい笑顔を見せた。
南条…先輩。
「ありがと…ござ…いっ」
「あーあー!泣くのはまだ早いでしょ?ほら、試合見て!!」
「は…いっ」
南条先輩の言うとおり、私は顔を真っ直ぐ前に向ける。
試合はまだ進展はなく、ジリジリと時間だけが過ぎていく。
「……片桐くん…っ」
見ているだけのこの状況がもどかしくて、地団駄を踏みたくなる。
二人の竹刀は交差し、木がぶつかる音が剣道場に鳴り響いている。