片桐くんはそう言って、私から離れようとする。


「あ、片桐く…っ」


きっともう、片桐くんとは会えないだろう。

いや、会えないわけではないが、きっと今の関係は続けられない。

なら、せめて今だけでも…


「片桐く…ま…っ」


追いかけようとして、まだ痛い膝を抱えながら立ち上がった。

そしたらまた、激しいめまいがグワンと私を襲う。


「―――あ…っ」


や、やばい…。


「あら、美羽ちゃんじゃない?」


後ろから、ミサキさんの言葉が聞こえる。


「ミサキ…さ…っ」

「美羽ちゃん?」