“片桐くんが好きだから”


言おうとするのだけれど、言葉はのどの所でつまってしまう。


「………」

「橘…?」


片桐くんは言葉をつまらせた私を不思議そうに、ジッと見つめる。

や、やだよ…顔、近い…


「―――っ…」


片桐くんの顔が近いせいか、顔が異様に熱い。


「………橘、今日は…」

「え…?」

「いや、何でもない」


片桐くんはそう言って、スッと立ち上がった。


「片桐くん?」

「じゃあ…な、橘」