ニコリと笑って、お母様はお茶を少し飲んだ。
「もし他に好きな人がいるなら、絶対に諦めないことよ美羽」
「………」
「美羽?」
私は顔を伏せて、黙り込んだ。
分かってる。今までだって諦めないでやってきた。
でも……
「良かったなって…」
「え?」
「良かったなって言われたんです、私」
あの言葉を思い出すだけで、あの片桐くんの表情を思い出すだけで、涙がまた出てきそうになる。
「……私、もうダメです」
「そう…なら、それで良いんじゃないかしら?」
「………え?」
お母様、さっきと言ってることが違うんじゃ…?