「たち…ばな…っ」

「―――つっ…」


もうこれ以上片桐くんを見ているのは無理だと思い、私は教室を飛び出した。

明後日、片桐くんが来るかなんて分からない。

来てほしいなんてわがままは…絶対に言わないから。


「……っ…」


涙で前が見えなくて、片桐くんの言葉がいつまでも頭の中に響いてて…


“良かったな…”


「……良かったの…かなあ?」


これで、良かったのかなあ?


「………あ…」


気付いた時には、もう自分の家の前まで来ていた。

走っていたからか、凄く呼吸が荒い。


「あら、美羽?」

「え?あ…お母様」