片桐くんは真剣な眼差しを、高遠くんに向ける。


「……その時は、橘先輩との縁談を断ち切らせていただきます」

「そんなの、俺には何の得も無いだろう」

「………」


片桐くんの冷たい言葉に、ズキリと心臓が痛む。

片桐くんの言うとおりだ。

私は片桐くんの恋人でもないし、特別な存在でもない。

私と片桐くんの関係は、そんなものなのだから…仕方ないよね。


「得?片桐先輩が自分に得が無いと思うのなら、それでも別に構いませんよ」


「それに…」と言って、高遠くんは話しを続ける。