ボロボロと今までにないぐらいに涙を流しながら、私は大声でそう言う。

それでも涙は止まることを知らず、大粒で零れ落ちていく。


「橘…?」

「今まで…は、大丈夫だったけ…ど…っ、さすがに…もう…!!」


私はそう言ってから、ダッ!と教室の扉に向かって走り出した。

そしてそのまま教室を飛び出そうとしたのだが、そんな私の体は高遠くんによって止められた。


「や…っ、離して!!」

「……橘先輩」


高遠くんは低い声のまま、私に話し掛ける。

だが今の私には、そんなことはどうでもいい。


「な…に?」

「……片桐先輩」

「……何だよ?」


高遠くんは私に顔を向けたまま、まぶたを閉じて片桐くんに喋りかけた。


「……明後日、僕と試合をやりましょう」