私はとっさに、片桐くんの腕をつかんで思い切り引っ張った。

そしたら片桐くんの動きも、ピタリと止まる。


「なん…だよ?」

「……あの…っ」


い、言え!言うんだ自分!!


「私―――っ…」

「何してるんですか。橘先輩に…片桐先輩?」


いきなり名前を呼ばれて、全身がビクリと跳ねる。

しかもその名前を呼んだ人物が、問題だ。


「……高遠…くん」

「ダメじゃないですか先輩。今、片桐先輩に告白しようとしてましたよね?」

「あの…っ」


全てを見透かされてるみたいで、顔に熱が灯る。

そして片桐くんはパッと、私を見た。


「橘、何で……」

「理由なんてどうでもいい」