ぐずつく私に南条先輩は「美羽ちゃん!!」と言って、両頬をパンッ!と軽く叩いた。


「はひぃ!?」

「忘れようなんて思っちゃダメだ。その気持ちは、本当に大事な気持ちだから…」


南条先輩は真剣に、そして真っ直ぐと私に向かって言う。


「苦しくて良い。悲しくて良い。大切な物が、全て良い感情に変わるわけじゃない」

「南条…先輩…っ」

「でも、それをズルズル引きずるのはダメだ。ちゃんと、自分にケジメをつけなきゃならない」


少し悲しそうに、南条先輩は私に向かって言う。


「……私…もう一度、片桐くんに告白しようと思います」

「美羽ちゃん…」

「泣いてもいい。だから、もう一度…この気持ちを伝えたいんです」


涙をグッと抑えて、私は先輩に向かってハッキリとそう言った。

ぐずぐずなんてしてられない。今すぐにでも、伝えなきゃ……