アフタヌーンメロドラマチック

今日は

女・百合乃(ゆりの)と男・和雅(かずまさ)

が約束をしていた。

が急に妹からの連絡が入って和雅は悩む。

百合乃は妊娠しててそれを伝えようと覚悟を決めているんだけど、

和雅はそれを知らずに妹の元へ走ってしまう。

「すぐ戻ってくる。戻ってくる待っていてくれ」

「待たないよ」

「頼む」

和雅は喫茶店を飛び出した。

その姿を見送って百合乃は

「さよなら和雅さん」

そして百合乃はお金を払ってでていった。
戻ってきた和雅は百合乃のいないことに愕然とする。

「オレは百合乃のつけすら許されなかった…」

そのモノローグに対して、

「そりゃあそうだよ!この場面で妹ばっかりのシスコンと何を喋っても無駄だよ」

と私と萌季(もえぎ)はツッコミをいれた。

次からは、和雅視点の話しになるっぽい。

「和雅が掻き乱されるから楽しそう」

萌季がニヤニヤとケータイをしまった。

頷く私だけど、内心はきがきじゃない。

私の状況と被っている。

なんか怖いって思った。
夏休みはあっという間に来た。

毎日暑い。

私と匠海くんは相変わらずで、埋まらない溝はどんどん深くなって行ってる。

深すぎて底が見えない。

私は今年の夏休みは、今までとは違うことをすることになるために準備で大忙しだった。

「えー刹那ちゃん夏休み中いないの?」

「うん。ちょっとした交換留学みたいなものだから」

「お祭りいけないじゃん」

「ごめんね」

「うんん。秋にもお祭りあるからそっちには行こうね」

「うんありがとう」
「いつ行くの?」

8月3日だよ。

「じゃあ誕生日だけはしようね。あ、でも彼氏と過ごすよね?」

「どうだろう?来なかったらメールするよ」

萌季(もえぎ)は少し眉を寄せて、

「双真さいてー」

と言ってくれた。

私のことを思ってくれる友達がいることが純粋に嬉しく思えた。


8月2日からは地方の学校と交流会ということで、夏休み中向こうの学校で過ごすことになっている。

地方は夏休みはお盆過ぎまでという学校も多く、向こうの学校生活も体験することになる。

戻ってくるのは8月31日。
そして8月1日。

前もって会えるか?

と聞いたら匠海くんは会えると言ってくれた。

だから、今は目の前にいる。

「凄いな、やっぱりお前料理上手いな」

一応自分の誕生日だからとは言えなかった。


何となく予感がした。

電話がかかって来ると。

ねぇ、君は今日が私の特別な日でも帰って行くの?

そして彼のケータイが鳴る。

「もしもし…」

私の心も知らず匠海くんは電話に出る。

「分かった、すぐ帰る」
ケータイを閉じて立ち上がった。

「悪い。帰るな」

私は最後の賭けに出た。

「今日だけ一緒にいてくれないの?」

これで何もないなら私はもう期待しない。

「ごめんな。姉ちゃんの具合が悪くて」

そして彼は出て行った。

不思議と悲しいとは思わなかった。

こうなると分かっていたから。

「萌季、今ひま?」

私は萌季に電話をかけた。

匠海くんのことは考えたくなかった。
ご飯を食べながら、萌季が持ってきてくれた、愛のカタストロフィを見た。

百合乃と和雅が別れて数年後、

和雅は百合乃のことを思いながら暮らしていた。

そこにシングルマザーになった百合乃が現れる。


弁護士になった百合乃は、和雅さの会社の顧問弁護士として働くことになる。

百合乃に迫る和雅はあっさりとあしらわれる。

それが三話ぐらい続いている。

今日は、

偶然、娘のこと花(ことか)が和雅と出会ってしまところから始まった。

愛らしい百合乃の娘に和雅は驚いていた。

「オレの子だよな」

「こと花に父親はいないわ。あなたは父親じゃない」
「でも…」

食い下がる和雅に

「例えばあなたが父親だとしてこと花に何をしてくれるの?」

と百合乃が聞いた。

「一緒にいて、何でもしてやる」

「妹さんからの電話を受けても?」

「っ…」

ここで和雅が息を止めたような仕種をする。

「こと花にまでそんなことをするなら、許さない。こと花を一番に考えてくれないなら父親はいらないのよ」

と百合乃は和雅の肩を押して行ってしまった。
場面は変わって、こと花が幼稚園で遊んでいるシーンへ移る。

そこに一人の女が近づいて行く。

和雅の妹・雅美(みやび)だ。



そこで話しは終わった。

「あの妹、娘をさらうね」

「そうだね」

「和雅があそこで、吃るのが腹立つぅ」

「ねぇ」

女としてはあそこで否定して欲しいものだ。

匠海くんも同じことしてる。

彼との将来は望めないと思った。

私は匠海くんを諦めた。