「うん柚葉だよ。
あなたの名前は?」


僕を忘れたのか気づいて
いないのか柚葉は
無邪気に微笑んでくる


「俺だよ…巧、巧だよ柚葉」


僕は動揺で声が震えた


柚葉の笑顔が消えていく


「巧…くん?」


目を大きく見開く柚葉は
やっぱり昔の柚葉だった。


「そうだよ。久しぶり柚葉」


「巧くん!!巧くんだぁ!」


さっき以上の笑顔を
僕に見せた柚葉に鼓動が
早くなった。


柚葉が僕を覚えてくれてた
だけで僕は幸せで
ならなかった。


10年ぶりに柚葉に会えたこと
柚葉と高校が同じだったこと
偶然隣の席だったこと…──



僕はこの時初めて
運命と言う言葉を信じた──