ヤキモチ妬いてしまった…。


しかも、その場の空気に耐えられなくなって逃げ出してしまった。


昇降口を確認すると、日芽は俺の荷物に座っていた。


寒いのになぁ~…。



「あぁ~…」


「譲君?」


「あ、」



下駄箱の角を曲がった処で、美緒に会った。


美緒は、委員会のファイルを片手に、荷物も何も持ってない。



「何やってるの?」


「いや…うん。日芽を待たせてる…」


「何で…?」


「いや…まぁ、理由がありまして」



誤魔化すのに必死でいると、昇降口の方から日芽の声が聞こえた。



「…日芽の声?」



振り向くと、そこには日芽の後ろ姿と…



「…あれ?仁君……」


「え?」



美緒が呆然と指を指した先には、日芽よりも大きい仁の姿。



「………」



双眼鏡が欲しい!!


俺と美緒は、角に隠れて二人を見た。


楽しそうに笑う仁。


照れくさそうに笑う仁。


何でだよ……?



「仁君…何か照れてない…?」


「…日芽も、何か楽しそう…」


「……信じらんない…」


「美緒!?」



美緒は、すぐそこの階段を上って行ってしまった。


最後にはにかんだ仁は、校舎に入って来て美緒とは別の階段を上って行った。



「………」



俺も靴に履き替えて、待ってる日芽を無視して歩き続けた。