ジョウのバイクに乗るのも久し振り…


何て思いながらも、バイクに跨がってジョウにしがみついた。



「平気?出すよ」


「うん」



バイクはゆっくりと走り出した。


途中で振り返って、小さくなる私の家を眺めてみた。


こっち方面、初めて来るな……。


前に向き直すと、赤信号でバイクが止まった。



「寒くね?」


「大丈夫だよ」


「そか」



いつもの様にヘルメットがズレて、だらしなくなってる。


被り直そうと手を伸ばすと、バイクが走り出してバランスを崩した。



「大丈夫か!?」


「う、うん…」



ビックリした……。


またジョウにしがみつくと、歩道に見覚えのある人を発見。



「あっ!!」


「え、なに!?何か忘れモンした?」


「ううん、何でもない!」



あれは…確か……。



「シン…?」



誘拐事件の犯人…。


誘拐なのか分からないけれど、確かにあの人が私を連れ去ったんだ。


捕まってなかったの…?



「とうちゃーくっ!」



バイクから下りて古ぼけたアパートを見上げた。



「ここ?」


「おう。一人暮らしだからさ、こんなとこなんだよな」


「…良いと思うよ」


「だろ!?日芽なら分かってくれっと思ったんだ」



にしし、と可愛らしく笑うジョウ。


下手したら女の子より可愛い顔してるかも。