「ジョウ、可愛い!」
「は?」
それから、私達は色々なところを回った。
イルカのショー
魚と触れ合い
アザラシのショー…
どれもこれも、楽しくて嬉しくて、心がぽかぽかした。
そして、好きな人と一緒に居る時間は、早く過ぎてしまうことを知った。
館を一回りした私達は、外に出てベンチに腰を下ろした。
ジョウは、まださっきの余韻を感じて騒いでいた。
「楽しかったな!」
「うん!毎日が、こんなに楽しかったら良いのにね…」
「楽しくねぇの?」
バタバタさせていた足を止めて、私をじっと見るジョウ。
そんな彼を見て、何も言葉が出て来なかった。
「…違くて…ジョウと一緒に居る時は楽しいよ」
「…うん?」
「でも…家は嫌い」
そう言った後、思った。
ジョウの家は、どんな家なんだろうって。
私の家の通りを真直ぐ、と聞いたけど、行ったことがないし。
「ジョウは家楽しい?」
訊くとジョウは、私から目を逸した。
「…俺、一人暮らしだから、さ」
「………」
落ち込んだ様なジョウを見て、言葉が出て来なかった。
別に、可哀相とか同情とかじゃなくて。
何でだろう?って、思った。
「まだまだ時間はあるし、呼んでやるよ。今は散らかってて無理だけど」
照れくさそうに言うジョウは、可愛かった。
でも、理由は訊けなかった。