―ピロリン…



部屋でベッドに寝転がっていると、机の上の携帯が鳴った。


一度、手を伸ばしたけど届かなくて仕方がなく起き上がった。



「もしもし…」


『ジョウ!』



画面も見ずに耳に当てたから、相手の声を聞いた瞬間、肩が跳ねた。



「うん?」


『どした?』


「…親と喧嘩した」


『何で?』


「いや…旅行が約束の日と被ってたから」



言うと、ジョウは吹き出した。



『は!?じゃあ、ずらす?』


「いい!私はジョウと一緒に居たいんだから」


『…後悔しねぇ?』


「しないよ」



そう言った後、少しだけ沈黙が続いた。


でも、ジョウはそんなの関係なく、鼻で笑った。



『分かったよ。明日なんだけどさ、4人でどっか行くべ』


「4人?」



立ち上がって、窓を開けてみる。


冬の冷たい風が、私を抜けて部屋に入る。



『俺と日芽じゃん?後、仁と美緒!』


「え?何で?」


『俺、仁と喧嘩したんだ。そしたら、仁が変わるんだとか言ってさ』



そっか……


そう考えると、ジョウは仁君と喧嘩して良かったのかも知れない。



『日芽?』


「ん?」


『…良い?』


「良いよ!」


『分かった!じゃあ、明日、12時に駅!』



【12時に駅!】


約束をする言葉が、久し振りに感じた。


皆に会えなくなってから、何もない日々を過ごしてた。


…ありがとう…ジョウ。